雑学・コラム 石川県

2024.6.3 更新

北陸ワイナリー巡りの旅(5)”石川の風土を感じる金澤町家にあるアーバンワイナリー”金沢ワイナリーin石川県金沢市~

金沢ワイナリーの外観
金沢ワイナリーの外観

“北陸のいいモノ・コトを発掘する”COREZOでは、北陸のワイナリーを紹介しています。
第5回目の訪問先は、石川県金沢市の街中にある金沢ワイナリーです。インバウンドの旅行者の印象に残りそうな純和風な店構えが目を引きます。

金沢駅の玄関として有名な鼓門をくぐり、近江町市場を右手にみて少し通り過ぎると、金沢ワイナリーがあります。
金沢駅から歩いて20分少々という立地にあるアーバンワイナリーです。
お天気の良い日には、ワイナリーの目の前の通りを歩く観光客は多く、恵まれた立地にあります。
今回は、新幹線が停まる駅から歩いても行ける金沢ワイナリーの魅力についてお伝えします。

金沢駅鼓門

金沢市の中心部にある町家を改装して、ワイナリーができたのは2017年です。
1階が醸造所、2階にはフレンチのレストランがあり、1階で造られたワインとともにフレンチを楽しむことができます。
町家の良さを残して改装されているワイナリーですので建物の特徴としては、間口は狭く奥行きが深いつくりで、俗にいう“うなぎの寝床”で、間口から想像できないほど中は広いです。
ワイナリーに足を踏み入れるとわかるのですが、伝統的な軸組木造(じくぐみもくぞう、日本の建築工法で古くから採用されている工法)で、地面の基礎から垂直に立てた柱と、水平に渡した梁(はり)で骨組みができています。
よく手入れされている立派な柱と梁は一見の価値ありです。

ワイナリーの柱と梁
料理

日本の伝統的な雰囲気が感じられるワイナリーも素敵ですが、レストランの壁にも工夫があります。
金沢ワイナリーが石川県内の数か所に持つブドウ畑の土を使い、それぞれの畑の土質が違う(当然色も違う)ことが面白いほどわかるようにデザインされています。
一見するとオシャレな壁なのですが、その壁土がブドウ畑から来ていることを知ると、ワイン好きはうなりたくなります。
「畑の土は場所によってこんなにも違うのか」と感動するからです。

ワインの世界ではテロワールという言葉を聞くことがよくあります。
テロワールとは、フランス語で「地球」や「土地」を表す “terre” から派生した言葉で、ブドウ畑をとりまく環境としての土壌や気候などを表す言葉として使われることが多いようです。
畑の土はテロワールを表す重要な要素のひとつで、ブドウに影響し、ひいてはワインにも違いをもたらします。自分の飲んでいるワインはどの土壌で育ったブドウなのだろうかと考えてしまう壁なのです。

レストラン

2024年春からは、ワイナリー1Fに試飲スペースが設けられるそうですので、前を通った時にふらっと立ち寄り、試飲することができるようになります。
地元の人に加え、観光で訪れた人がワインを試飲する賑やかな様子を思い描くと、春が楽しみになります。

さて、ワインとブドウの話をしましょう。
金沢ワイナリーのワインはすべて石川県内で栽培されたブドウから造られています。
ワイナリーのコンセプトが「石川の多様なテロワールを金沢にて情報発信する」ですから、当然の選択なのだろうと思います。

ワイン
レストラン

マスカット・ベーリーAの畑は加賀地域(堆積土)にあり、シャルドネとメルローの畑は奥能登珠洲市(すずし)の珪藻土(けいそうど)にあり、ともにしっかりと育っているそうです。
ヤマ・ソーヴィニヨンは能登地域で栽培されていて、他にはデラウェアやセイベル9110 、リースリング・フォルテといった品種も県内産にこだわります。

能登のブドウ畑
能登のブドウ畑

例えば、加賀地域産のマスカット・ベーリーAと能登地域産のヤマ・ソーヴィニヨンを組み合わせて樽熟成したワインは「MARIAGE (マリアージュ)」と名付けられています。
マリアージュはフランス語で結婚という意味で、ワインの世界では料理との相性という意味で使われている言葉です。
この2つの品種はともに日本の品種ですが、両者を組み合わせたワインは珍しく、面白いです。マスカット・ベーリーAに備わる果実味にヤマ・ソーヴィニヨンの濃厚さと渋味が混ざり、樽香も調和し、豊かな味わいのワインに仕上がっています。

「MIEKO」も紹介します。
このワインはキャンベルアーリーで造られたスパークリングのロゼで、金沢ワイナリーが最初にリリースしたワインです。
ワイナリーを創業した井村社長のお母様が、長年有機栽培で育てているキャンベルアーリーから造られています。
私たちが訪問した日は、高齢のお母様が元気な様子で収穫後の枝の選定をされていましたので、印象深いです。

金沢のブドウ畑
ブドウの収穫

「MIEKO 2016」の醸造は委託醸造でしたが、2017年にワイナリーがオープンしてからは、ワイナリーの1階にある近代的な醸造所で造られています。
2階のレストランと同じように、ジャズっぽい音楽が流れる空間です。

醸造所

2023年の面白い取り組みは、兼六園の桜の天然酵母を用いたワインです。
日本で桜の天然酵母でワインを造っているところは稀有でしょうし、仮にあったとしても非常に限定的でしょう(今や日本にあるワイナリー数は500軒近いため、もしかすると他にもあるかもしれません)。
日本酒や地ビールでは桜酵母は利用されているようですが、ワインの発酵に用いると、どんなワインになるのでしょうか。
桜の天然酵母ワインのリリースが楽しみです。

醸造所

金沢ワイナリーが一員となっている金沢大地グループは、もともと有機農産物等を生産している会社です。
先に記したように「MIEKO」のブドウは有機栽培で育てられていて、桜の酵母も当然のことながら天然酵母です。
2階にあるフレンチレストランで供されるパンは自社農園で栽培した有機小麦が原料です。
桜の天然酵母のワイン、有機農業、個性豊かな井村社長(名刺の表面には有機栽培農家と表示)、素敵な町家風のアーバンワイナリー、どれをとっても面白いところです。
壁にはワインとブドウをかたどった素敵なステンドグラスもあり、随所に一貫したこだわりを感じます。

ステンドグラス

金沢を訪問する機会があれば、ふらりと立ち寄ることのできる距離にある金沢ワイナリーの紹介でした。
足を運んでみていただくと、面白い発見があるはずです。

基本情報
  • 営業時間

    Lunch
    11:30〜15:00(L.O.13:30)
    Dinner
    18:00〜22:00(L.O.20:00)

  • 定休日

    第二・四火曜日 / 毎週水曜日

  • お問い合わせ先

    076-221-8818

  • 公式サイト ※外部サイトに遷移します

    金沢ワイナリー 公式HP

  • 住所

    〒920-0902 石川県金沢市尾張町1丁目9番9号

  • アクセス

    【徒歩】
    JR金沢駅より約20分
    ひがし茶屋街より約9分
    兼六園より約15分
    【バス】
    金沢駅より尾張町下車・徒歩約1分

ライター

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記事作成者:COREZO