雑学・コラム 石川県

2024.3.15 更新

北陸のワイナリーを巡る旅(2)”家族の絆と地域と共に作るワイン”Vin de la bocchi farm & winery( ヴァン・ド・ラ・ボッチ)in石川県金沢市~

ヴァンドラボッチ イメージ写真
スタッフ

“北陸のいいモノ・コトを発掘する”COREZOでは、北陸のワイナリーを紹介しています。
第二回目は、石川県金沢市にある「Vin de la bocchi farm & winery(ヴァン・ド・ラ・ボッチ)」です。
ヴァン・ド・ラ・ボッチは金沢市内にある家族経営のワイナリーです。
金沢大学のキャンパスからほど近い場所に位置するこのワイナリーは、金沢駅から車で20分ほどの距離にあります。
金沢に来たワイン好きな人がふらっと立ち寄ることができます。

ヴァン・ド・ラ・ボッチの特徴は、家族の絆と印象的なワインラベルです。
訪問したときは夏の終わり、ブドウの収穫がもうすぐ始まるという頃でした。
病果を落とすなど、収穫前のブドウ畑でする作業はたくさんあり、訪問時は家族総出で、畑で作業中でした。
その時の写真(次の写真)をみて思うのは、忙しいだけでなく、強烈に暑い中、笑顔で出迎えてくれてありがとう!でした。

家族写真
葡萄剪定作業中

北陸地方の夏はフェーン現象という言葉で語られます。
皆さんも聞いたことがある言葉だと思います。一言で言うと、北陸地方の夏は暑いことが多い、金沢も例外ではない、に尽きます。
日本海側の低気圧にむけて南から風がふいてきて(太平洋側は高気圧)、北アルプスなどの高い山に南風がぶつかると、風は山の斜面にそって山を登り、斜面にそって山を下り、北陸地方に吹きさがり、日本海側へと進みます。
このとき、山のこちら側と向こう側で気温が大きく違うことになるのです。
これがフェーン現象です。

梅雨明け後の北陸地方が晴れて暑くなるのはこの現象によるもので、ブドウにはとても良いのです。
湿った空気が山を越えて反対側に下りたときに、風下側ではもう湿っていなくて、乾燥した高温の風になります。
風上側にあたる太平洋側より、風下側にある北陸地方の気温が高くなる理由は、湿度の違いによるものです。
湿度が違うと気温の上下する割合が違うため、風が山などを超えて吹くときに、吹き降りた空気が高温・乾燥するのです。

作業中に笑顔の写真

さて、訪問した日はとても暑い日でした。
どのくらい暑かったかというと、タオルを持たずに畑を歩いていると、汗が目に入って、目がしみる状態でした。
なんでタオルを持ってこなかった!と悔やむほどでした。
畑で作業をするのはもちろん暑いですし、ワイナリーにとって忙しい時期に入っていました。
そんな中、笑顔で写真撮影に応じてもらいました。
写真からも家族一丸となっていることが伝わります。
ワイナリー名の“Bocchi”は一人ぼっちの“ぼっち”なんだそうです。
ひとりの力は小さくても、集まればやがて大きな実を結ぶという意味が込められています。

葡萄畑1
葡萄畑2
葡萄畑3

写真をみると、小高い丘の上にブドウ畑があり、遠くに田んぼが見えて、きれいな景色が広がっています。
この近辺は俵町という地名です。
地名からわかるように、お米の産地として有名なところで平地には田んぼが広がっています。
ヴァン・ド・ラ・ボッチのロゴは米俵とブドウの実をモチーフにしているのです。
家族が新しくワイナリーをはじめて、地元の人ともうまくやっていく、そんなイメージも伝わるロゴです。

ヴァンドラボッチ ロゴ

ブドウ畑は4ヘクタールあり、欧州系のブドウ品種が19種類植えられています。
2016年からスタートした若いワイナリーですので、ブドウの樹も若く、収量はまだ多くはありませんが、1万本近いワインが造られています。

写真の黒ブドウはイタリア系品種のサンジョベーゼです。
フランス系の品種もありますし、本州では栽培が難しいと言われているピノ・ノワールも植えられています。
北陸地方にある小高い丘に位置する畑にはどのブドウ品種が適しているのか、今後見極めていくそうです。
夏は乾燥して暑く、とても水はけのよい土地(砂れき質の土壌の中に安山岩というマグマが冷えて固まってできた岩塊が混在しています)ですから、この地に最適な欧州系ブドウ品種が見つかることと思います。

葡萄の写真
スタッフ 葡萄選定作業中写真

今は19品種の醸造用ブドウから、白ワイン、ロゼワイン、赤ワインが造られています。
今後、この土地に適したブドウ品種が定まってくると、そのブドウ品種のワインが誕生する予定です。
今は勝ち抜き戦の途中とのことでした。

ワイナリー内作業中写真
ワイン樽写真

特徴あるラベルも自作品です。
赤ワインには陸の生き物として哺乳類、白ワインには海の生き物を描いたカラフルなイラストが入っています。
今年リリースされた2021年のビンテージでは、赤ワインにはナウマンゾウ、白ワインにはカブトガニが描かれています。
イラストの下にはビンテージ(ブドウが収穫された年)も入っていますが、イラスト横には大きな数字も描かれています。
この数字がワイン名です。2017年に最初に収穫された白ブドウはソーヴィニヨン・ブランで、この白ワイン名は「No.1」でした。
2018年の白ワインもソーヴィニヨン・ブランで、ワイン名は「No.2」でした。
2018年には黒ブドウのカベルネ・ソーヴィニヨンも収穫され「No.3」となりました。
ワイナリー設立から数年以上が経過し、今は白ワインの「No.8」、ロゼワインの「No.10」、赤ワインの「No.11」が販売されています。
すべてのラベルは、ヴァン・ド・ラ・ボッチのご次男・響さんが描いたイラストです。

ワインボトル9本陳列写真
ワインボトル3本陳列写真
ワイン倉庫内

白ワインはグレープフルーツや洋ナシ、桃のような香りがあり、まろやかな酸味のある余韻の長いワインです。
赤ワインはダークチェリーやカシスの甘酸っぱさがある果実味豊かなワインで、チョコレートのような香りも感じられます。
2023年は雨が少なかったことから良いブドウが実っています。
良いワインは良いブドウからとも言いますから、2023年のビンテージのワインがどんなかんじに出来上がるのか楽しみです。
それに加えて、素敵なイラストが増えていくことも楽しみにしたいと思います。

店舗外観写真
店舗内写真
作業トラック
基本情報
  • 料金

    お問い合わせください

  • 営業時間

    11:00~16:00 (不定休) ※ご来店の前にお問い合わせください

  • 定休日

    不定休

  • お問い合わせ先

    ヴァン・ド・ラ・ボッチ
    076-208-5196
    [email protected]

  • 公式サイト ※外部サイトに遷移します

    ヴァン・ド・ラ・ボッチ公式HP

  • 住所

    石川県金沢市俵町コ11-3

  • アクセス

    金沢駅から車で約30分
    金沢駅より北鉄バス「13医王山線」乗車。「俵町」バス停で下車後、徒歩5分

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記事作成者:COREZO